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ブロックチェーンとはなにか
ブロックチェーンは「分散型台帳技術」を使ったシステムです。台帳とはデータがたくさん書かれた帳面(データベース)のことを指します。
従来の一般的なシステムでは、中央集権的に大きなサーバーがあり、そこにデータを保存し、各利用者がコンピュータでサーバーにアクセスする形です。
それに対して、中央集権的なサーバーを持たずに、個々のパソコンなどネットワークにつながった機器=ノードがそれぞれに全部のデータを持つ、まさに分散して保有する形で運営されるシステムを分散型台帳技術といいます。
分散型台帳技術のうち、ブロックチェーンは「取引履歴などデータを鎖のようにつなげて、正確なデータを維持する技術」です。その名の通り、取引データをブロック(箱)にまとめて、それをチェーン(鎖)でつなぐように記録されていきます。
1つ1つのブロックには「その前までの取引内容の要約」に加えて「新しい取引の内容」が記されます。新しい取引があると、そのデータはブロックチェーンのネットワーク上に置かれて、各参加者のノードにそのデータが書き込まれるのです。なお、データはハッシュ化(暗号化)されて保存されます。
ブロックチェーンのメリット
そのような仕組みのブロックチェーンには、以下の3つのメリットがあります。
ハッシュ化とは、普通に読める文字列をハッシュ関数に基づいて別の文字列に置き換えて読めなくすることです。この技術は、会員サイトにログインする場合などにも使う「パスワードの暗号化」にも用いられており、例えば、「Akiko777」がまったく違う「Mpui-9AZmHX-5G」となったりします。ハッシュ値から元のデータを割り出すことは非常に難しく、セキュリティの高い技術です。
ブロックチェーン上のデータを改ざんする為には、チェーン(鎖)でつながれた全ブロック(箱)のハッシュ値を変更しなければなりません。そこまでやらなければ各ノードの整合性が保たれずに改ざんがすぐに発覚します。この参加者全員が同じデータを共有するシステムが、実質的に全員でデータの整合性を管理・監視する構造を形成して、改ざんが非常に困難な状況を作り出しています。
従来の中央集権型サーバーでは、その基幹システムがダウンしてしまうとすべての取引が停まることになりますが、ブロックチェーンでは特定の管理者やサーバーに依存していないため1つのノードのダウンが全体の運用や稼働に与える影響は抑制されます。この点で、銀行などの金融機関業務を担うシステムに大きな変革をもたらす可能性を秘めているといわれています。
ブロックチェーンの危険性と対応方法
ブロックチェーンの名を有名にした仮想通貨(現在は「暗号資産」)では、マウントゴックス事件、コインチェック事件などいくつか資産の流出が起こっています。その原因としては、内部者の犯行または第三者によるハッキングです。
内部者の犯行はその会社の信用度やセキュリティ意識などに負うことになりますが、ネットワーク上の犯行のため、結局は足がついて逮捕されています。成功確率を考えると、今後はあまり起こりにくいのではないかと思われます。
データを書き込むためのパスワードである「秘密鍵」が盗まれ、コインがどこかへ送金されてしまうのがハッキングです。これは、ネットワーク上やメール転送など、スキルがあればセキュリティを破ることができるオンライン環境に秘密鍵を置くこと(ホット・ウォレット)が原因となります。そのため、例えばUSBに秘密鍵を書き込んで保管するなど、インターネットに接続しない方法で保管(コールド・ウォレット)すれば、システムのスキルがどんなに高くても盗むことができません。
ブロックチェーンの種類
参加者全員でデータを管理することがポイントのブロックチェーンには、「参加者の範囲」の違いにより3つの種類があります。
インターネットに接続すれば誰でも参加できるタイプのブロックチェーンです。管理者が存在せず、参加者が承認作業を行うことで取引の正当性が担保されます。その承認作業は高性能コンピュータで膨大な計算をすることで行われ、マイニングと呼ばれます。なお、マイニングした人には報酬が払われます。
パブリック型のメリットは、世界中から誰でもデータを見ることができるので透明性が高く、参加者がいる限り取引が止まらないことなどです。逆にデメリットとしては、マイニングで承認した取引データを参加者全員のノードに書き込む時間が必要なので、スピーディに大量の取引を行うサービスには向いていません。また、完全に公開されているのでプライバシーの保証もありません。
これらは認められた参加者のみが利用できる(パーミッション型)ブロックチェーンで、管理者も存在します。プライベート型は単一の企業や組織が、コンソーシアム型は複数の企業や組織で管理します。
プライベート型は外部にデータが公開されないことからプライバシーが確保され、また、マイニングもなく参加者のノードも限られているので迅速に大量の処理も可能、かつマイニング報酬も不要のためコストも安いのが特徴です。管理者が不正を働く可能性はありますが、一企業が単独で管理するため犯行が露見しやすく、セキュリティも確保しやすいもので、管理者への信頼に立脚して成り立つシステムでもあります。
コンソーシアム型もプライベート型に近いメリットがありますが、管理者が複数存在するため、信頼できる企業や組織、人物のみで構成されるならば、セキュリティも高いネットワークになります。
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